好きなことは心が喜び、嫌いなことは心が病む

好きなことを、自分のペースで、身の丈に合わせて、無理せず、続けている。

それはサックスなのだが、もう5年。

何事にも飽きっぽい私にしてはよく続いている。

きっと好きだからだ。そして上達するのが難しいこともある。

なりたい姿になかなかなれない。到達しない。

まあまあこの辺りで、という妥協点が見えてこない。

5年やっても、まだまだ、なのだ。

まだまだだけど、まだまだだからこそ、まだまだ楽しいのだ。

6月に今年になって通い始めた教室の発表会があり、私も出さしていただくことになってしまった。

困ったなあ。あと3カ月しかない。

練習ばかりもやっていられない。そんな有閑オヤジじゃあない。

現役バリバリのビジネスマンである。

仕事9割、趣味1割。そんな時間配分。それでやっとこさ、食っていけるのだ。

そしてマンションでは音は出せない。3カ月とはいえ、本当に限られた練習時間だ。

でも、楽しい。だからこそ楽しい。

うまく吹こうなんて思っちゃいない。

その段階の自分の身の丈の技術でできることを、

精いっぱい楽しんで吹いてこようと思っている。

それができるなんて、

なんてありがたいことなんだろう。

俺は自分がいいと思うものをただつくっていたいだけなんだよ。

お金でもなく、自分が心の底から納得する、わくわくするものをつくっていたい!

それが「原点」だった。

本当はそういう気持ちでやりたかった。

そういう気持ちが分かる仲間と。

でも、現実はそう甘いもんじゃなく、社員が多くなり、

それなりに有名になり、僕はクリエーターではなく経営者の顔が大きくなっていった。

そうすると、名声やお金の代わりに、いろんなものが奪われていった。

その最たるものが「時間」だった。

皮肉なことに、MOMOという社名のビジョン「時間泥棒から時間を取り戻す」どころではなくなっていた。

創業の志。

創業の意味。

それが失われていった。

ああ、でも、本当はそれが「原点」だったことを、改めて思い知らされるドラマがある。

「俺は自分がいいと思うものをただつくっていたいだけなんだよ」

これは主人公の貫井さんのセリフだ。

皮肉にも、このドラマのオンエアは倒産の年だった。

資金繰りに七転八倒していたその頃の僕は、リアルタイムにこのドラマを見られるわけもなく、

実際に再放送を見たのはずっと後になってからだ。

昨日、妻とまたこれを見た。

DVDを買って、もう何度も見ているが、その他に何度も心が震える。

これなんだよな。

これが創業の原点だったんだよな。

そう思い、また奮い立つ。

今はたった二人だけの事務所だが、人数ではない。

やっと今、このドラマのような仕事ができるようになった。

この原点を見失わぬように、今日も駆ける!

わくわくする仕事に向かって頑張るぜ!

時々「原点」を確認するための僕らにとってのバイブル。

そのドラマの名前は『恋のチカラ』といいます。

新しいコトを始める。続ける。やめる。また始める。どれもかっこいい。

槙原敬之の古い歌に『東京DAYS』というのがあって、この歌が好きだ。

例えば初めて自転車に乗れた日を覚えていれば

新しいことを始めるやつを

誰も笑えやしないはず

24歳の夏に初めて照れもなくスケボー抱えて

川べり坂道擦り傷なめる僕に誇りを持ってる

東京DAYS 何かいいことないかと愚痴をこぼしながら

遊び場探すようになったら最後と言葉を飲んだ

僕は今、SAXを吹いている。

擦り傷なめまくっているが、そんな自分が誇らしい。

『バツベン魂』完成!


電子書籍『バツベン魂』完成!

バツベンだからこそ語れる真実がある。

 バツを蘇生の翼に!
 再起のバネに!
 幸福な人生の羅針盤に! 

 ブレーキを学んでからでなければ走れないように、
 着地を学んでからでなければ飛び立てないように、
 受け身を学んでからでなければ戦えないように、
 バツから学ばずして人生の丸は描けない。
 
 バツから何を学ぶのか?
 もう一度やり直す力である。
 再起する勇気である。
 蘇生可能な自分自身に対する確信である。

 やり直せる自分を信じられないから、人は悩み、怖気づき、立ち止まる。
 走れない、飛び立てない、戦えないのだ。
 そして、人生のマル、すなわち「幸せ」を逃すことになる。
 たった一度の人生を、思いのままにプロデュースできるのはたった一人の自分のみ。
 小さく、せこく、まとまるな。こびりつくな。しみったれるな。

 「バツ」は頓挫、失敗、挫折、「ベン」はベンチャースピリット。
 バツにおののくな。バツを楽しめ。
 堂々と走り、堂々と飛び立ち、堂々と戦い、
 そしてバツれ! 何度でもバツれ! とことんバツれ!

 心配することは一つもない。
 なぜなら、何度でもあなたは立ち上がれるのだから。
 それはなんてダイナミックでステキな生き方なのだろう。
 たった一度の人生を懸けて、懸けて、懸け切って悔いのない生き方。
 それは「バツベン魂」を燃やして生きること。

 「バツベン」とは、バツから立ち直って、もう一度新しいことにチャレンジする気概を表す、僕がつくった言葉だ。ITベンチャー社長だった僕は、いっとき「時代の寵児」ともてはやされた時期があった。が、間もなく倒産、自己破産、離婚という手痛い「バツ」を経験した。そこから十二年かけて「バツベン」となって蘇生した僕は、今最高の幸せを手に入れることができた。 
  
 「これから」が「これまで」を決めるとすれば、僕にとってあの「バツ」は実に貴重な体験だった。
 今となれば輝かしい勲章だ。
 縁あってこの本を手に取ったあなたにもさまざまな「これまで」があり、そこには何らかのバツがあっただろう。
 受験の失敗? 失恋? 倒産? リストラ? 借金? 離婚? 死別? 失業?
 人生、思いどおりにいくことは少ない。
 バツ、バツ、バツ、そして時々マル。それが人生だ。
 だが、それを乗り越えてこられたからこそ、今のあなたがあるのも事実。
 そこで終わっていたら、The End of Life。草葉の陰から手を振る人だったはずだ。

 『これまで』が『これから』を決めるのではなく『これから』が『これまで』を決める。
 そう言ったのは佐治晴夫さん(理論物理学者)だ。

 この本には、バツを肥やしに、蘇生の翼に、再起のバネに、あるいは幸福な人生の羅針盤にして、人生の大きな大きな花丸を手に入れるためのヒントがいっぱい詰まっている。
 少なくともそういう思いで書いたのが『バツベン魂』であり、僕の「これまで」の集大成でもある。
 あなたの「これから」が、「これまで」を輝かせるほど幸せに満ちたものになりますように!

 そんな願いを込めて、親愛なるあなたに贈ります。
 ぜひ読んでみてください。

 2017.12.31
 バツベン 伊藤 靖

内容

<まえがき>
<『バツバツ人生万歳!』~煮ても焼いても、腐ってもボクは鯛!>
<究極のシアワセ者になるために>
<こんな時代に、こんなオレならばこそ!>
<「負けるもんか!」の六文字>
<そこの有能な挫折者に告ぐ>
<トモヂカラ>
<感謝だ!>
<低いところで見る>
<最も高い、最も美しい利子>
<バツかマルか>
<地獄の三丁目から帰ってきてくれた友へ>
<あっ晴れという生きざま>
<人生のSDカード>
<角館の小学生の女の子はどうしているだろうか>
<やりがいのある失敗>
<引き換えにしたもの>
<回復ある逸脱を>
<かっこいい大人>
<自己破産の法廷で最後に述べた裁判長の言葉>
<風倒木>
<今を時めく>
<日々初心の人たち>
<「大衆」という名の権力>
<AIを語る人のどや顔>
<つながりたいのは「自分と同じ感覚を持っている人」>
<邪気のない目で見よう>
<一生分からず屋>
<やましい心も正直な心も、顔や姿に表れる>
<人生初のステージ>
<シアワセのスパイス>
<成功は自己暗示から>
<人間はいかに生きていくべきか>
<後悔と航海>
<おびえて生きるか、楽しんで生きるか>
<しじみや大根になりましょう>
<「人はあきる」という当たり前の法則>
<ロングトーンの法則>
<人間のシアワセの本質>
<年齢という目に見えない目方>
<Dear Old BABAME>
<「自分」という人物>
<エラー後の処理>
<露出したもの勝ちではない>
<雲と群衆を侮るなかれ>
<スペアパーツをずっと作り続け、売り続ける誠実さ>
<力を抜いて普通に生きる>
<昔ながらのクリスマスケーキ>
<何をするかではなく、誰が何のためにするか>
<「分かり」のキャパを広げよう>
<わ~くしょん!>
<どぶに落ちても>
<人は創めることを忘れなければいつまでも若い>
<人は個>
<倒産のうた、母さんのうた、ふるさとのうた>
<越えて輝け!>
<合言葉は再起!>
<矢沢はどうかな?>
<二つの手に力をこめてはいけない>
<未来を見渡すために>
<地味勝ちのススメ>
<永遠の未完成>
<見向くということ>
<内向きに進む>
<「自信がない」という自信>
<シンプルに生きる>
<映画『バードマン』のコピー>
<手っ取り早いこと>
<生まれ変わりたければ>
<いのちの砂時計>
<奴隷からの卒業>
<ベンチャーって何?>
<蘇生>
<バツの自分にオッケーを出すために>
<コツはコツコツ>
<何をしたいか?>
<『なめくじ論』~起業して見える素晴らしい風景、そこに吹く心地よい風>
<『起業家教育』柳生小学校バーチャルカンパニー>
<講演録(一)『失敗から学ぶベンチャービジネス』起業家向けビジネスセミナー>
<講演録(二)『バツから学ぼう! 生涯はなまる経営』>
<あとがき>
<小説『盧生(ろせい)の悪夢』>