お金でもなく、自分が心の底から納得する、わくわくするものをつくっていたい!
それが「原点」だった。
本当はそういう気持ちでやりたかった。
そういう気持ちが分かる仲間と。
でも、現実はそう甘いもんじゃなく、社員が多くなり、
それなりに有名になり、僕はクリエーターではなく経営者の顔が大きくなっていった。
そうすると、名声やお金の代わりに、いろんなものが奪われていった。
その最たるものが「時間」だった。
皮肉なことに、MOMOという社名のビジョン「時間泥棒から時間を取り戻す」どころではなくなっていた。
創業の志。
創業の意味。
それが失われていった。
ああ、でも、本当はそれが「原点」だったことを、改めて思い知らされるドラマがある。
「俺は自分がいいと思うものをただつくっていたいだけなんだよ」
これは主人公の貫井さんのセリフだ。
皮肉にも、このドラマのオンエアは倒産の年だった。
資金繰りに七転八倒していたその頃の僕は、リアルタイムにこのドラマを見られるわけもなく、
実際に再放送を見たのはずっと後になってからだ。
昨日、妻とまたこれを見た。
DVDを買って、もう何度も見ているが、その他に何度も心が震える。
これなんだよな。
これが創業の原点だったんだよな。
そう思い、また奮い立つ。
今はたった二人だけの事務所だが、人数ではない。
やっと今、このドラマのような仕事ができるようになった。
この原点を見失わぬように、今日も駆ける!
わくわくする仕事に向かって頑張るぜ!
時々「原点」を確認するための僕らにとってのバイブル。
そのドラマの名前は『恋のチカラ』といいます。